前段でお話したように、中国から伝わった「俎(そ)」は、日本で独自に「末奈以太(まないた)」という名前が付けられました。
しかしどうして「まないた」と名付けられたかは諸説あり、由来は定かではありません。
そこで、ここでは2つの有力説をご紹介します。
まな板の「まな」が一体なんなのか疑問に思っている方は、ぜひ最後までご覧ください。
1・「まな」の語源は「真魚」という説
まな板の語源は、真魚(まな)が由来という説があります。
真魚というのは魚介類のことです。
古代日本では食用の魚のことを「な」と言い、接頭語の「真(ま)」を付けて「まな」とも呼んでいました。
そんな真魚(まな)を料理するための板で、真魚板と名付けられたのではないかと言われています。
豊かな海に囲まれている日本では、新鮮な魚料理が古くから普及していました。
そのため加熱や煮込みよりも切る作業が重要で、包丁と一緒に調理板(台)が必要だったのでしょう。
これは有力説とされていて、出版されている複数の辞書にも「まないた=真魚板の意」と記載されています。
2・「まな」の語源は「真菜」という説
真菜(まな)板が由来だという説もあります。
菜(な)は、今でも一汁一菜というように、おかず全般のことを指す言葉です。
昔の日本でも、魚に限らず肉も野菜も含めた食材すべてのことを「菜(な)」と呼んでいました。
菜(もしくは菜を調理する菜板)に接頭語の「真(ま)」がつき、まな板になったのではないかと言われています。
まな板の元になった中国の「俎(そ)」は、魚だけでなくあらゆる食材の調理に使用しています。
また実際に中世の日本でも、魚だけでなく鳥や獣をまな板で調理したことがわかっています。
そのためこちらも有力説のひとつと言われています。
余談ですが、真魚板・真菜板は文字の見栄えがいいので、現代でもお店の名前などでよく使われています。